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平成31年度税制改正大綱が与党(自民党)より、12月14日に発表されました。

国会で税法の改正が可決されたわけではありませんが、今後の税制改正の方向性が示されたことで税務の世界もそれに向けた対応が必要になってきます。

 

その中で、資産税の端くれである筆者が、注目したのが配偶者居住権です。

今後数回にわたって、相続、贈与、譲渡の場面で影響が想定されることをお伝えします。なお、一部解説をわかりやすくするため法律用語をあえて使用しない部分を含みます。

 

そもそも配偶者居住権は、民法の改正により明文化され、権利として保護されるものとして規定されました。簡単に言えば、旦那さんと一緒に住んでいた家に奥さんが無償で済み続ける権利です。他の人に譲ることができない奥さんのみに許された権利です。この権利が法律に載ることで、堂々と他の人に長年夫婦で済み続けた家に引き続き住み続けることを主張できる根拠ができました。登記が可能になったので、他の人に主張もできるようになったわけです。

 

配偶者居住権は、旦那さんが亡くなったら、自動的に発生するものでなく、遺産分割の話し合い、遺贈(遺言書等)、家裁の審判(裁判所の決定等)によって取得することになります。

この居住権は、2020年4月1日に施行され、それ以後の相続開始(亡くなった日)に適用可能になりますので、もう間もなくの適用になります。

実際に実務の世界で、この権利をどう金銭価値に算定されるのか、その方向性が今回の大綱に載っています。

今回は、説明の都合上、建物、土地は子供が相続するけれど、奥さんが居住権をもつ場合と思ってください。

 

<建物の配偶者居住権の価値:奥さんの財産価値>

建物全体の価値-複利原価率と建物の残存価格で計算した建物の価値

 

簡単に言うと、今後住む予定が長ければ長いほど価値は高くなる価値です。

 

<建物の残りの価値:子供の財産価値>

建物全体の価値-建物に対する配偶者居住権の価値

 

奥さんの財産価値と子供の財産価値を加えると建物の価値になる計算方法になっています。

建物の権利を二人で分け合っている考え方をしています。

 

<土地に対する配偶者居住権の価値:奥さんの財産価値>

土地の価値-複利原価率によって計算した土地の価値

 

建物と同じで、住む予定が長くなれば価値として高くなる計算になります。

 

<土地の残りの価値:子供の財産価値>

土地の価値-土地に対する配偶者居住権の価値

 

建物と同じく、奥さんの財産価値と子供の財産価値を加えると土地の価値になる計算方法になっています。

土地の権利を二人で分け合っている考え方をしています。

 

通達上の取扱いがはっきりしていない部分ではありますが、実務上、配偶者居住権を使う際は、登記を行って権利関係をはっきりすることになろうと思います。

 

筆者の個人的意見としては、自宅の土地建物の価値の合計が、相続税の配偶者控除の範囲内(目安:1億6千万円)以下であれば、適用することは慎重に検討すべきと考えます。

つまり、奥さんが自宅の土地建物全体を相続する方が、使い勝手が良いと思われます。

 

理由としては、次回以降お伝え予定しています、小規模宅地の特例適用の場面、自宅売却の場面で権利関係を複雑にするためです。

 

勿論、権利関係をうまく使える状況(子供が一人で、親子中が良好等)であれば、相続対策としても利用を検討すべきかもしれません。

 

 

 

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