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前回に続いて配偶者居住権について検討していきます。

今回は、相続の小規模宅地の特例の適用場面においての検討をします。

 

前回の繰り返しになりますが、配偶者居住権は、旦那さんが亡くなったら自動的に奥さんが引き継ぐものではなく、遺産分割、遺言書、もしくは家裁の審判等の手続きをすることではじめて発生するものです。

 

そもそも、相続税の世界で生きてきた人間の感覚からすると、旦那さんが亡くなって10カ月の間に遺産分割や遺言書であるならまだそこまで手続きが複雑ではありませんが、家裁の審判を経てまで、配偶者居住権を発生させるメリットはあるのでしょうか。

 

自宅の敷地と建物を奥さんが相続することになれば、1億6千万円までの財産に相続税はかかりません。自宅の敷地の評価額がこの範囲内であればあえて、配偶者居住権を発生させず、配偶者が相続する方が、遺産分割の時、家族間の感情的な理解は得やすいと思います。

執筆時点(平成31年3月18日)時点において小規模宅地特例の通達の情報が国税庁のHPに掲載はされていませんが、小規模宅地の特例の趣旨(相続人の自宅の確保)から配偶者居住権についても適用の対象内となる可能性が高いと個人的には思います。

 

では、配偶者居住権の対象となる敷地の権利についてはどうなるのでしょうか。

配偶者居住権を発生させるということは、敷地権は配偶者以外の子供が相続することになるかと思います。

通達の発表待ちの状況ですが、最近の小規模宅地の特例の改正から適用できたとしても、条件はかなり厳しくなると思われます。

例えば、亡くなった旦那さんと生計が一、かつ同じ建物内で同居し、なおかつ相続税の申告までに同居し続ける等。

 

相続の開始の時期、人の死の時期をコントロールできません。小規模宅地の要件を適用するために生前から同居等の生活状況を合わせることは、はたして正しいのか筆者にもわかりません。

であれば、自宅の敷地について、小規模宅地の特例と配偶者控除の効果をなるべく大きくし、来るべき2次相続の税額負担を早めに子ら相続人に厚くする分割の方法を探る方がより現実的であるように思われます。

 

もし、配偶者居住権を設定するのであれば、確実に相続させたい子供に旦那さんが遺言書を作成した上で、配偶者居住権も同時にその遺言書の中で設定する方法があるかと思います。

それでも、家族間の感情的な部分で、権利関係を競合した家に親族が同居する状況になりかねない等、税額ではない部分のデメリットは存在すると思われます。

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