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今回も、配偶者居住権についての内容です。

執筆時点でも、国税庁から通達が発表されていないため私見による考え方になっている部分もあります。

 

今回は、配偶者居住権の消滅時の課税関係についてです。

新しい民法の条文上、配偶者居住権が消滅するのは以下4パターンとされています。

➀  配偶者の死亡した場合

② 遺贈・遺産分割の審判により期間を定めた場合その期間の満了した場合

③ 用法違反により居住建物所有者が消滅の意思表示をした場合

④ 居住建物の全部が滅失その他の事由により使用および収益をすることができなくなった場合

 

➀の場合は、相続税の課税関係となり、前月話した内容です。

 

②の場合は、期間が経過したため当然消滅するという理屈は理解できます。

ただ、配偶者居住権の価値も時の経過とともに減少していく計算方法になると思われるため、期間満了時に配偶者居住権0になり、課税上特に問題ない。と一見思えます。

しかし、結果的に時間の経過とともに土地建物所有者に経済的価値が徐々に移ることになり、贈与税の課税関係が生じるのではないかという疑問は生じます。

通達で、贈与税の課税をしないこととみなすという規定を設けて、民法上の権利を保護するのか、贈与課税関係は生じるが少額で、影響ない程度にするのか、当局側の考え方とに興味はあります。

 

③の場合も、本来の目的外に使用する権利は保護する必要がないため当然の結論になると思います。

 

④の場合も配偶者居住権の対象の建物全部が消滅、使用収益できないのに消滅するのは当然の結果になります。

 

ここで筆者が疑問に思ったのは、実務上配偶者居住権を設定した本人が不要になるような事態が起きた時に配偶者居住権を自ら消滅できるのかという疑問です。

条文上は一身専属で、第三者に譲渡できないとされているから、不要になった場合、当然本人が消滅させることができるのか、できないのか。

もし消滅できるとしたら、相続税対策で設定した配偶者居住権をその後相続人に意図的に譲渡することができるスキームに使われる可能性があります。

消滅できないとすると、今度は配偶者居住権の趣旨である自宅に住み続ける権利を自らコントロールできない事態になり法律の立法趣旨から離れるのではないか。

 

配偶者居住権を消滅させることが可能だとしてもその際の間接的な経済価値の移動(配偶者から対象の不動産所有者へ)を贈与税のみなし贈与の課税関係において課税するのか。

 

こうした理由から、通達発表までは、配偶者居住権の設定は慎重に考えていいと思います。

 

 

 

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