私が、弊社に入社してから、1年が経とうとしています。

 

国税職員であったことを、少し懐かしい気持ちで思いだすこともありますが、当時の私は、主に相続税調査の仕事をしておりました。

相続税調査は、財産が適正に申告に反映されているかを確認するために、実施されるものです。

 

そのため、調査の対象となる方は、富裕層やその関係者の方であることが多かったのですが、お会いする方の中には財産がなく、多額な借入金などで債務超過となっている方も少なからずいました。

亡くなった方(被相続人)が、相続財産が無く、債務超過であった場合、基本的には相続税は発生しません。

 

ただ、(税金)相続税の問題は生じませんが、相続手続きをどうすればよいかという問題が生じます。

被相続人が多額の借入金があるのに、無限に権利義務を承継する単純承認(民法920条)をしてしまうと、借入金の相続した相続人が、返済義務を負うことになってしまいます。

このような場合には、相続を知った日から3か月以内(家庭裁判所に請求することで期間の伸長ができます)に相続を放棄することで借入金の相続を免れることができるため(民法915条)、一般的には相続を放棄すればよいと言われています。

 

ところで、個人的な話となりますが、現在、私は自分の親の資産や借入金について、詳しく知りません。聞いておりませんし、直接、聞きにくい部分もあります。

国税職員での公務上でも、「自分の親に借入金があることを、亡くなるまで知らなかった」という方が見受けられました。

 

もし、親に相続が発生した場合、相続を知った日から3か月以内に借入金の事実を把握できなかった場合、放棄することができずに、借入金を相続せざるを得ないことになります。

 

そのため、債権者である金融業者の中には、放棄の期限である3か月を超えるのを待ってから、相続人に借入金の返済を督促するところもあるという話も聞いたことがあります。

 

このような場合に、解決法となる相続手続きとして「限定承認」(民法922条)があります。相続人全員で手続きする必要がありますが、限定承認した場合、相続財産の範囲内のみの債務を弁済すれば、それ以上の債務超過額の弁済をする必要はなくなります。

 

ただ、限定承認した場合には、相続税ではなく、譲渡所得税の課税が生じることがありますので、この部分は、次回のコラムで説明したいと思います。

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