前回のコラムでは、相続手続における「限定承認」を述べました。

 

限定承認をした場合、相続財産の範囲内でのみ、債務などのマイナスの財産を引き継げば良いことになり、相続財産を超える債務を負担する必要はありません。

 

そのため、相続後に、被相続人に多額の債務がある恐れがある場合などには、有効な相続手続になります。

 

ただ、税務上の視点で見た場合ですと、注意が必要な部分もあります。

 

それが、限定承認による「みなし譲渡課税」になります。

 

所得税法第59条では、「相続(限定承認に係るものに限る)が生じた時に、その時における価額に相当する金額により、資産の譲渡があったものとみなす。」と規定しています。

 

この規定は、限定承認による相続の場合、実際には売却していないものの、税務上、売却と同じ所得税(税率20%)を課税するというものになります。

 

もし、相続財産の全てが現金や値上がり益が生じない資産(貸付金など)で構成されていれば、みなし譲渡課税の対象財産がないため、特に問題ありませんが、値上がり益の生じる資産(土地や株式)が相続財産に含まれていれば、みなし譲渡課税の適用対象となるため、注意が必要です。

 

また、限定承認によるみなし譲渡課税は、被相続人から相続人に対する親族内売買となるため、課税を受ける財産が住まいなどの居住用財産であっても特別控除の3,000万円が適用ができない点も注意が必要です。

 

もし、債務超過が明白であれば、みなし譲渡により発生する税金も負債として取り扱われるため、納付する必要はないのですが、ある程度の債務を上回る資産があり、その資産の中に譲渡所得が課税される資産(不動産や株式など)がある場合には、限定承認の手続前に相続開始時の時価を算定し、みなし譲渡所得の税額を検討することをお勧めします。

 

 

 

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