国税職員として採用され、税務署で仕事をするようになってから、初めてに耳にする言葉がいくつもありました。

そのうちの一つが「みなし」という言葉です。

 

聞き慣れない言葉の意味や税務上の取扱いを理解するために、当時は税法を何度も読んだ記憶がありますが、簡単に理解することができずに、苦労した記憶があります。

 

さて、前回のコラムでは限定承認による「みなし譲渡課税」について述べました。

これは実際には相続でありながら、税務上、売買と同様に見て所得税を課税するというものでした。

この「みなし譲渡課税」は、限定承認による相続以外に、法人に対する贈与をした場合にも適用されます。

 

ところで、私が国税職員であった頃は、主に相続税や贈与税を扱う仕事が多かったのですが、相続税や贈与税の中でも、「みなし」規定が以下のとおり、定められています。

 

みなし相続財産

民法上の相続財産(民法896条)は、被相続人が死亡時に所有していた財産を指し、その相続財産に相続税が課税されています。

 

そうしますと、死亡時には所有していない財産には、相続税は課税されないことになりますので、死亡後に受領する生命保険金や死亡退職金には、相続税が課税されないことになってしまいます。

 

ただ、生命保険金や死亡退職金も、実質的に被相続人の死亡により相続人に移転する財産であるため、税法では「みなし相続財産」として、相続税を課税することとしています(相続税法第3条)。

 

みなし贈与

贈与とは、無償で財産を与える行為(民法549条)をいい、贈与によって財産を受け取った者には贈与税が課税されることとなります。

 

そのため、もし、著しい低い金額で財産を売却した場合、例えば、時価1,000万円の土地を50万円で売却した場合には、無償ではないため、民法上の贈与に該当せず、50万円で購入した者に贈与税が課税されないことになってしまいます。

 

このような場合(低額譲受)に、相続税法では実質的に贈与と同じ経済効果(950万の利益)が生じる「みなし贈与」として、贈与税を課税することとしています(相続税法第9条)。

 

特に、多額な財産の移転の際に検討が必要となりますので、思わぬ課税をされないように、注意していただきたいと思います。

 

 

 

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