相続が発生した場合、誰が財産を受け継ぐ相続人になるかは、民法の規定に従うことになります。
民法886条の規定では、
第一順位の相続人は子
第二順位の相続人は直系尊属(父母、祖父母)
第三順位の相続人は兄弟姉妹
と規定されており、配偶者は常に他の相続人と同順位で相続人となります(民法890条)。
この規定は、例えば、自分の子と全く面識や交際の無い場合であっても適用され、法律上は相続人となってしまいます。
一方で、生前に大変お世話になった恩人などがいた場合であっても、この規定にある身分関係が無ければ、相続人になることはできません。
私は、税務職員で相続税の仕事をしていた際に、様々なご家庭を見てきました。
自分の子は一切面倒を見ないのに、最後まで自分の親のように介護をされていた家政婦さん。配偶者と別居しており何十年と音信不通でありながら、最後まで、まるで夫を支えるように身の回りの世話をされていた愛人の方。
このように多大な貢献をされた方がいた場合でも、相続が発生した場合には、民法の規定上、子や配偶者が相続人となってしまいます。
亡くなった方からみれば、不本意な遺産分割になっているのではないかと思うこともありました。
本心に沿った遺産分割をするためにも、税負担も考慮した対策を、きちんと備えておくことが大切となります。