【未来のための税務対策】
未来のための税務対策はどこから始めていけばよいのでしょう。
将来の計画を立てるためには、まずは現在の状況を正しく分析し、考えを整理することが大切です。
その際、大切なことは会社と経営者個人に関する税務問題を一体としてとらえ、両方の分析を同時に行うということです。オーナー企業の場合、会社と個人を切り離して考えることはできないからです。
経営者が本当の意味で税金のストレスから自由になるためには、会社の税金だけにとどまらず、個人の税金・ご家族の税金・後継者問題・自社株問題・相続まで、人生を通じた様々な出来事とそこに関連する税金を関連付けて複合的に検討することが必要です。
将来を見据え会社と個人を一体として考えた税務対策とはどのようなものでしょう。
ひとつ単純な例を挙げます。「今期の業績は相当上振れしそうだから、役員報酬を増額しよう」。その結果、法人の利益は圧縮されますが逆に役員報酬に対する所得税は増加します。給与に対する所得税は累進課税ですからトータルで考えた税コストは増加してしまいます。そのため、敢えて報酬は増やさないという方も多くみられます。しかし、株価の引き下げ、将来の退職金支給額を増加にプラスの効果はあります。反面、個人資産が増加することで最終的な相続税額は増えることになるでしょう。
つまり、今期行ったある経営判断は様々な形で数年後、数十年後の税金にメリット・デメリット両面の影響を与えることになるわけです。毎期の利益に対する『フローの税務対策』と利益から積みあがった資産に対する『ストックの税務対策』をばらばらに考えていては良いプランニングはできません。今期行った税務対策が将来の自社の株価や個人の資産形成、相続財産にどのような影響をもたらすのか、フローとストックの対策を、常に同時並行的に両輪で考えていくことが良いプランニングの基本です。最良の税務対策は将棋の棋士のように、この一手が与える影響をどこまで先読みできるかの勝負なのです。
生命保険や航空機リース等に代表される節税商品の活用、不動産を取得し減価償却の計上によって利益を圧縮する節税法も、出口戦略として株価対策や相続税対策の観点も絡めて総合的なタックスプランニングを行うことでより大きな効果が期待できます。そうでなければ単なる利益の先送りにしかなり得ません。
経営者の方は皆、経営計画の策定を重要視されていると思います。経営理念に沿って中長期的な計画を定め、さらに短期的な目標を策定し、その達成をしながら日々を積み重ねていく。その経営計画に、ご自身の人生計画、資産運用の計画、後継者へのバトンタッチ、ハッピーリタイアメント後の未来設計なども組み合わせたプランニングを作成し、これを上手に実行していくことができれば、それぞれが夢見る豊かな老後の実現に大きく前進します。
毎期の法人税の節税とは異なり、資産に関する節税を効果的に行うためには計画性が非常に重要です。何も対策を取らないまま人生の終盤を迎え、付け焼刃的な税務対策を取らざるを得なかった場合と、時間をかけて行った税務対策を実行していった場合、その差は驚くほど大きいものとなります。
参考に弊社がお客様の現状を分析したうえでご提案しているオーダーメイドプランニングの「中長期スケジュール」の一例を掲載いたします。