昨年12月に「令和3年度税制改正大綱」が公表された。
今回の改正は、全体的に「衝撃を与えるような改正」はない印象を持ちました。
その理由としては、もちろん「コロナウイルス」の影響があると思います。この社会が混乱している最中に抜本的な改正を行うのは難しかったのではないでしょうか。
その中でも押さえておきたい改正としては以下の3つです。
1.中小企業支援制度の延長
中小企業の積極的な設備投資を支援するため、「中小企業投資促進税制」「中小企業経営強化税制」の2年間延長も決定しています。また、所得拡大促進税制も引き続き継続しています。
これらの制度は租税特別措置法による制度であるため、当初申告時に適用していなければ、申告後に適用を忘れたから更正の請求を提出して適用することはできません。
そのため、設備投資や資産購入の際には事前に顧問税理士に相談することをお勧めします。
2.電子化の流れのさらなる加速
なかなか進まない「電子帳簿保存」制度について改正が行われます。ペーパーレス化が進む中、「電子帳簿保存」制度が進まない要因は申請の手間と厳格な要件にありました。
今回の改正で、「事前承認制度」を廃止し、適用要件も多少緩和します。そのため以前よりは適用法人が進むのではないでしょうか。
まだまだ要件として簡単ではありませんが、電子化が進むことにより税務調査もスムーズに進むことも考えられます。
この機会に電子化について検討してみるのも有効です。
3.富裕層に対する規制
令和3年度改正ではありませんが、大綱本文中に富裕層のみが有利になっているとして相続税と贈与税の制度時代の見直しをするべきと記載されています。
詳細は決まっていませんが、暦年贈与の廃止等改正されれば大きなインパクトになることは間違いありません。
将来の税制改正内容を予測することは困難ですが、すぐに対応できるようにアンテナをはってお客様の対策に反映していきたいと思います。