【税務当局の対抗策】

現在の日本の税法では、私法上有効とされる納税者の行為・計算を課税当局が否認し、通常あるべき行為・計算に引き直して税額等を計算することのできる一般的否認規定は存在しません。例外的に同族会社等の行為計算否認規定という「伝家の宝刀」が置かれています。

 

この規定の趣旨は、同族会社は少数の株主または社員によって支配されているため、その会社の法人税の税負担を「不当に」減少させる行為や計算が行われやすいと考え、課税の公平を維持するため、税負担を不当に減少させる結果となると認められる行為または計算が行われた場合には、これを正常な行為または計算に「引き直して」法人税の更正または決定を行う権限を税務署長に認めたものです。

 

つまり、同族会社であるが故、非同族会社では通常成し得ないような、「お手盛りの」経済取引が行われがちであるという発想が根底にあるわけです。

 

納税者にとって課税リスクの予見性は非常に大切なことです。もしかしたら否認されるかもしれないという不安を抱えたままのタックスプランニングは非常に不安定でストレスの基となってしまいます。

 

【奇策ではなく王道の対策を】

税務当局の租税回避への対応は強化されてきており、常識的に考えて通用しない(と当局に判断されるかもしれない)奇策が抱える税務否認リスクはますます大きなものとなります。

 

また、現行の法律で対応できていない税の抜け道は、いつ税法改正によって塞がれてしまうかもしれないのです。

 

私は不安定要因を抱えた奇策ではなく、何の不安もない王道の税務対策を戦略的に考え続けていくことをお勧めしたいと思います。本来は将来の売上につながる設備や広告費、人材への投資が自然な形として税コスト削減につながることが望ましいわけですが、それだけでは足りない場合、税務対策の王道は大きく分けて二つに集約されると考えています。一つ目は「税率の差異を活用すること」、二つ目は「課税主体を変更すること」です。

 

法人と個人を一体として考え、中長期的に将来のことまでを考慮しながら、コツコツと常にあらゆる角度から常に税負担を最小化するための方法を検討し続けていくこと。それこそが最良の結果を導くための唯一の方法です。

 

 

 

 

 

 

 

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