近年の経済取引の複雑化・広域化に伴い、子会社や関連会社を複数持ったグループ企業が増加しています。グループ化の流れは日本国内にとどまらず、海外に現地法人を設立しビジネスを行っている例も多数見受けられます。

以前もお伝えしたとおり、グループ法人全体で税コストが最小化されるようなタックスプランニングを構築することは非常に良いことなのですが、関連会社間の取引を巡っては税務上の争いが多いことに注意しなければなりません。

【税務当局の視点】

税務当局では、資本関係が同一である、役員が親族同士であるなど、同族オーナー企業間の取引においては、他社との取引と異なり金額が恣意的に決定されることで利益調整が行われ、所得金額を圧縮されることに使われることが多いという見方をしています。

 

そのため、それぞれの会社を単体で調査するのではなく、関連企業を一斉に調査することでグループ企業間の取引を相互に確認し、効率的に調査していくという流れも加速しています。

 

複数のグループ企業を経営されている方は、関連会社間の取引について問題視される可能性が高いということを意識しておく必要があるでしょう。

 

【関連会社を活用する方法】

業種により、どのような取引形態でグループ経営を行っていくのか、その手段は様々です。製造部門と販売部門の切り離し、商圏エリア別に法人を分割する、関連会社に商社機能を持たせるなど多種多様な形態が考えられますが、近年よく見かける方法で、かつ、税務調査の場面で問題になりやすい取引は、何かしらの業務委託契約を交わし関連会社に利益を移転させるというものです。

 

大原則として、利益を帰属させるためには、そこに実体を確保することが必要になります。事務所や社員など、通常の法人としての姿がないままでは、いわゆる「ペーパー取引」として税務否認を受けることになりかねません。

 

実体性を確保したとしても、次のハードルが待っています。適正な取引価格という問題です。

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