【取引価格を巡る問題】

 

グループ会社に業務を委託する場合、まずはその会社は何を行うのかという機能の整理をしなければなりません。そのうえで、その会社に帰属させる収入(利益)の算定方法を考えます。例としては売上高の何パーセントだとか、役務提供の内容にふさわしい対価の額という考え方です。

 

ここで悩ましいのはグループ内における最適な利益配分を考慮して決定したその取引価格が税務上そのまま認められるとは限らないというところです。

 

税務の世界では往々にして「社会通念上妥当な金額」という言葉が登場します。この多様化した世の中において社会通念上妥当な金額=一般常識にあてはめた適正額を決定することは大変困難であり、答えの出ない永遠のテーマとも言えます。

 

そのため一般的に税務上問題を生じさせないためには、同様の取引を第三者と行った場合の価格(第三者取引価格)を参考にすると良いと考えられていますが、商人が行う以上、値付けは千差万別であり、同じ条件の取引を行っている第三者取引価格の情報を入手することも実際には困難です。

 

このことは逆に言えば、税務当局側も関連会社取引価格の適正値を算出することが容易ではないということでもあります。

 

しかしながら、税務調査で取引価格が問題視され、正解のないグレーゾーンの問題であるがゆえに調査が長期化することは避けたいものです。

 

私は税務問題を争いの土俵に上げないためには、「戦わずして勝つ」ための税務対策が最良であると考えています。そのための方法として、まずは

 

①業務委託契約書に記載する業務内容は実態に則した形でできるだけ正確に作成する。

 

②グループ全体の組織図等により各法人の業務分担のすみ分けを明確にする。

 

③業務委託した結果の成果物・報告書等をきちんと作成、保存しておく。

 

ことをお勧めいたします。

 

そのうえで各業務内容に応じて会社が考える適正な金額の算定根拠を理路整然と税務当局に説明することが出来れば、否認リスクは相当に引き下げられるものと考えます。

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